- アジア渡来説
梨は、アジア大陸より渡来したという説もありまして、その発祥は中国とされています。
ここで初めて人々の食物となったといわれております。
朝鮮半島においては、梨は戦乱や飢餓の時にもひっそりと守られてきました。こちらでは梨は、高貴な祭祀に用いられるくだものであり、人生の節目を飾る果実なのです。
- 日本自生梨
日本にも自生をしていた、ニホンヤマナシという梨がありました。現在、日本で栽培されている品種のうちの大部分が、この自生していたニホンヤマナシを改良したものといわれています。
ニホンヤマナシは、中部地方以南の地域が原生地とされていて、お隣りの朝鮮半島南部や中国の揚子江を中心に分布しています。
日本原生の梨としてこの他に、イワテヤマナシがあります。イワテヤマナシは、日本北部に原生しており、岩手県、秋田県、青森県に分布し改良された、衣通姫(そとおりひめ)などの少数品種も栽培されました。
- 植物学に見る
梨を植物学で見てみると、『バラ科ナシ属』なのですが、その約20品目の落葉高木の総称をさして梨といっています。バラ科というだけあって、種をまいてから最初の1〜2年の間にはトゲがつきます。
ニホンナシの学名は「Pyrus serotina var.culta」です。
- 古典や文学に見る
「なし」は「無し」に通じるということ嫌われて、昔の人は「ありのみ=有りの実」と言い換えて呼んでいました。
このことは、平安朝末期の「相模集(さがみしゅう)や「山家集(さんかしゅう)」にみられます。
「日本書紀」には、693年に持統天皇が「ナシ、カキ、カブなどを植えよ」と栽培のすすめが記載されています。
正倉院文書(8世紀)の中には、今で言う家計簿にあたるものの食費の欄に、「梨五斗二升」との記載がみられます。
女流作家「尾崎翠」(鳥取県岩井温泉出身)は、故郷 鳥取の秋を「新秋名果」の中で次のように詠みました。
『母ありて ざるにひとやま はだ青きありのみのむれ われにむけよとすゝめたまふ
「二十世紀」 ふるさとの秋ゆたかなり』
・・・ふるさとの「二十世紀」梨は、初秋の味です。名高いこの果物は、こんこんとしてうるさしさが尽きない泉のような果物です。底に一脈さわやかな酸味は、他の梨に求めて得られないものでしょう。・・・
- 名前の語源
梨・なしの語源にはいくつか説があります。
- 果肉が白いことから、「なかしろ(中白)」と呼ばれ、それが略されて「なし」と呼ばれるようになった。
- 味による説として、「な(内部」「すみ(酸味)」「あまし(甘)」がつまってなまり、「なし」へ。
- 日持ちがいいこと、色がかわらないこと、そのことから「なましさ」が略されて、「なし」と呼ばれた。
- 花言葉
「なごやかな愛情」です。
やさしい花言葉とは逆で、漢字のつくりは、「木」の上に「利」と書きまして、「梨」の字は、利益が上がることを意味する金のなる木・・・かどうかはわかりません(笑)。